妄想男子

日々思うことを気ままに。

お姫様と星の物語

遠い遠い何処かの国で

一人のお姫様が恋に憧れて

星に願いを託しました。

私に恋を教えて下さいな。

星はキラリと光って頷くと

お姫様を包み込み

空高くまで連れて行きました。

 

明るい月の光に照らされて

お姫様はゆっくりと目を開きます。

そこには青く光る美しい星がありました。

その星の中にひときは光るモノがあって

お姫様は星に尋ねました。

あの光るものは何でしょうか?

それはあなたが追い求めるものですよ。

私はあれが欲しいです。

星は優しく頷くとお姫様を包み込み

ゆっくりと地上へ降りてゆきました。

それから星はゆっくりと天に戻りました。

 

お姫様はあの光を探すことにしました。

しかしなかなか見つかりません。

それは目の前に同じような光が

たくさんたくさんあるからでした。

お姫様は目を閉じてあの光を思い出します。

それでも目を開くと周りには

多くの光が輝いています。

お姫様は困ってしまいます。

お姫様はまた目を閉じて光を思い出します。

するとお姫様は気付きました。

それらがあの光と同じではないことに。

 

ある夜お姫様はまた星に願いを託しました。

どうしたらあの光に出会えますか。

星はキラリと光って頷くと

小さくなってお姫様の側に寄りました。

ペンダントになった星をお姫様は

嬉しそうに見つめます。

 

ある日のこととても美しい王子が

お姫様を訪ねて言いました。

私と一緒になってください。

お姫様は嬉しそうに頷きました。

お姫様は思いました。

きっとお星様のおかげなのね。

そうしてペンダントにキスをしました。

 

しかし、ある日のこと

お姫様は大切な星のペンダントが

無くなっていることに気付きました。

どうやら王子が盗んで逃げたそうなのです。

お姫様は王子を追いかけて探しました。

街を出て森を抜け

山を越えて走り続けました。

やっとの思いで王子に辿り着くと

星のペンダントは他の誰かに

売られてしまうところでした。

お姫様は驚いて声が出せません。

あんなに優しかった王子が

まさかこんなことをするだなんて。

そのペンダントをとても大切にしていたのに。

お姫様が悲しみに涙を流したその時でした。

星のペンダントが光り輝き始めました。

そうしてお姫様の体を包み込み

空高くまで連れて行きました。

 

月の光に照らされて

お姫様はゆっくりと目を開きます。

そこには青く美しい星がありました。

その星の中でひときは光るものがあります。

その時お姫様は気がつきました。

それが海に映った星であることを。

お姫様は悲しくなって涙が止まりません。

いつでも側にいてくれたのに。

お姫様はお星様の気持ちに

気づかなかった自分を恥ずかしく思いました。

すると星は優しく語りかけました。

これからも側にいてくれるかい?

お姫様は微笑みながら頷きました。

 

ふたりはそれから幸せに暮らしました。